Q.抑うつと不安症は違うの?A.はっきり違います!
精神疾患は大きく4つに大別されます。
①統合失調症
ある程度原因が分かっており
治療法が確立しているのは統合失調症です。
遺伝の傾向が少しあります。
結論から言うと脳内のドーパミンの過剰により
起こります。
当然投薬ではドーパミンを阻害する
D2ドーパミン受容体阻害薬が用いられます。
メジャートランキライザーとも言われる
この薬は健常者が飲めば卒倒します。
しかしながら統合失調症の患者さんには
とても良く効きます。
トラブルは薬の飲み忘れなどで症状が
再発して起こりますが、投薬して安定すれば
医学上のコントロールが可能です。
②抑うつ
次は抑うつです。ある程度原因は分かっていますが
治療法が確立されていません
なりやすい性格的傾向(真面目・几帳面)
は分かっていますが、過剰なストレス環境では
遺伝でなく誰もがなりえます。
結論から言うと様々なストレスによって
脳内のセロトニンが減少している状態です。
セロトニンはほとんど(9割)が腸で産生されます。
うつ状態になると食欲が無くなったり
胃腸の調子が悪くなりますが、
そういった背景があります。
を増やすお薬が使われていました。
正式名は選択的セロトニン再取り込み
阻害薬と言います。(長い)
「セロトニンを増やすのに何で阻害薬なの?」
という疑問が生まれるかもしれませんが
再取り込みして(出戻って)しまう状態を
改善します。
再取り込み阻害薬)という薬も出てきています。
ノルアドレナリン量も増加させることで
やる気を出す効果もあります。
治療法が確立されていないと言ったのは
副作用や依存性がある事や
のちに話す不安症や双極性障害(躁うつ)
と併存するケースがあり
どのような治療が良いかは
人によって違うためです。
③神経症(不安症など)
次は不安症です。昔はよく原因が分からない
精神病をざっくり「神経の症状」ということで
神経症と呼んでいた背景があります。
今回は比較的原因が分かっている不安症について
結論から言うと脳内物質の「ギャバ」の不足です。
投薬はギャバを増やすわけですが
と構造からお薬の名前がついています。
ギャバは増えると「安心」「眠くなる」ので副作用
として眠くなる点が問題です。
(仕事に支障が出る場合が多い)
不眠症対策として、寝る前に飲んだり
パニックなどの症状が出たときに
飲んだりと使い方は様々であり、
効く期間に応じた薬の使い方をします。
④躁うつ病(双極性障害)
躁うつ病について
ある程度の遺伝傾向が言われていますが
原因は全く分かっておりません。
ただ治療法はあります。(?)
投薬は金属のリチウムを摂取すると
良くなります。(???)
なぜそうなるのかは、全く分かりません。
副作用は金属に対して体が反応して
しまう場合があります。
(意識・神経障害・下痢など)
まとめ
言葉が溢れて混乱しますが
メカニズムは全く異なります。
安易に薬に頼る前に
自分の病態を分析しましょう。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
優秀な人ほど劣等感を抱く謎
一般的に私たちの感覚的には「劣った人ほど劣等感を抱く」というイメージがあると思われます。しかしながら、「イメージ」と「リアル」が全く異なっている(むしろ逆)ケースがあります。
優秀な人ほど劣等感を抱くと申しましたが、正確には「ある程度の優秀さがないと劣等感を抱く力に欠ける」という事です。
知性の本質は「想像力」です。
同じ状況にいても想像力のない人は未来の予想・予測ができません。
「それをやってはいけない」と言っても分かりません。想像ができないのです。
少し具体例を出してみます。例えばマスクについてです。疫病が流行った際にどうやらマスクは人に病気をうつさない効果があるらしい。ならば互いにマスクをすることで社会全体の感染リスクを減らすことができます。
日本にはいませんが、他国には「個人の自由」と称して意地でもマスクをつけない人が一定数います。大統領がつけない国もあるくらいです。「互いに協力することで皆が利益を受けられる」という想像ができないのでしょう。
話を戻します、心理学の研究では「劣等感」はある程度の知性がなければ抱かないという話です。つまり「本物の○カは自分が○カだという自覚がなく、自分が劣っている事に気が付かず、他人との比較もできず、差を想像する力もない」という事です。
全ては「想像力」の欠如から起こるのです。
我々日本人は「自虐的」「卑屈」とよく言われます。しかし「他国の良き点」によく気がつく洞察力、その素晴らしさを理解できる想像力があるからこそ劣等感を抱くのです。矛盾するようですが、この自虐的な特性こそ、我々がむしろ誇るべき点なのです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
思いやりの神様「クーラ」(ギリシャ神話)
神話を読んでいると、昔の人々のどう子どもを教育していくかという考え方が伺えます。道徳や文化を「子どもにも分かりやすく明快にかつ短文で」伝えるのは容易ではありません。
※私も分かりやすく伝えるため、大分コミカルに表現しますが、あくまで「語り部の一人」という事でご容赦ください。
ギリシャ神話「クーラ」
昔々、思いやりの神様であるクーラ様が川を渡っていると、水底に粘土状の泥を見つけました。クーラ様はそれを手にすると、おもむろにこねて像を形作りました。
クーラ様が2つの足に2つの手、1つの頭がついた土くれを眺めていると天空の神様ジュピター様が現れます。
「ああジュピター様この像に命を与えください」
クーラ様がお願いするとジュピター様は像に魂を吹き込みました。
クーラ様は言いました。
「この生き物はクーラと名付けてよろしいでしょうか?」しかしジュピター様は認めません。
「私が魂を込めましたのでジュピターと名付けます。」「しかし、私が形を作りました。」
2柱は名前を巡ってやがて言い争いだしました。
そこに大地の神様であるガイア様が現れ言います。「我が身体を提供したのだ、その像はガイアと名付けるべきであろう。」
こうなると、もはや収拾がつきません。
そこで時空の神様クロノス様に仲裁してもらうことにしました。
クロノス様は言いました。
「もし、この像の命が止まるとき、魂はジュピターが身体はガイアが受け取るように。
しかし生きている間の管理は…クーラ、貴女の役目だ。
名前については元は土くれ(humus)なのだから人(homo)とでも呼べばよかろう。」
クロノス様の裁定は公正だと3柱は納得しました。
めでたしめでたし
ホモサピエンス、ヒューマンの語源となった神話です。この神話はギリシャ神話と言いましたが、ローマ時代に編纂された物語です。クーラという独自の神様も登場するローマオリジナルストーリーだったようです。
ではギリシャの神々を登場させつつ、ローマの人達は何を伝えたかったのかを想像します。1つ目は「身体も魂も神様からの借り物に過ぎない」という事。生まれを選ぶことはできず、老いから逃げることはできず、病気と死を避ける事はできません。身体は大地に、魂は天空に返さねばならないのです。文化的な死生観が表現されています。
2つ目は「わざわざ登場させている思いやりの神様」です。この話は古代における二次創作であり、オリジナルキャラクターがいるというならばそれを通じて伝えたい事があったはずです。本作では「人は生きている限り、思いやりを持たなければならない」というローマ人の道徳観が表現されているのでしょう。クーラは現在の「ケア」という言葉の語源となっており、ローマ人の思いは現代にも伝わっています。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
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清少納言の「発達心理学」
日の下に新しきものなしと言いますが、時代が古かろうと理論化されていなくとも、洞察力や共感力をもとに重要な法則性に気付く人は気付きます。そういった人は現代でも風化していないような表現を残しています。
本日の主題は「愛されることの大切さ」
扱う古典は「春はあけぼの」の序文で知られる清少納言さんの枕草子です。
今日の発達心理学では母(保護者)との信頼関係が、「基本的信頼」という形で子どもの中に残り、その後他者との関係を結ぶことができるということが言われています。
ここで母との信頼関係の構築に失敗すると「他人を信じられなくなる」という恐ろしい話もさらっと流されます。
誰かを愛するには「まず愛される」という前提が必要だということです。
清少納言さんは下記のように綴っています。
世の中に、猶、いと心憂き物は、人に、憎まれむ事こそ、有るべけれ。
(中略)
良き人の御事は、更なり、下種などの程も、親などの、愛しうする子は、目立ち、見立てられて、労しうこそ覚ゆれ。
清少納言「枕草子」第253段より
(訳 この世で何と言っても辛いことは他者に憎まれる事ではないでしょうか。高貴な方は言うまでもないですが、例え貧しい人であっても、親などが可愛がっている子どもは、注目され、見立てられるので(親類以外からも)好まれるのでしょう。)
彼女は現代で言うところの「都のエリート女性官僚」であり、貧しい人への差別的な表現も目立ちますが、しかしながら「多くの人から愛される人は、親からの深い愛情を受けており、貴賤は関係ない」と見ています。貧しい人への強い偏見がある人が貴賎は関係ないと述べるのは、重大なことです。日々の洞察から、固定観念を超えて素直にそう感じたのでしょう。
「親が深い愛情をかければ良い子が育つなんて当たり前」
と言われる人がいるかもしれませんが、その当たり前の事が出来ていないから社会に問題が溢れているのではないでしょうか。
大事な言葉や理論は「繰り返し何度もしつこいぐらいに」伝えていく必要があるのです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは良き一日を、良き夢を!
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朝食を食べると頭が良くなるというウソ
一時期、PTAで話題になった「朝食を食べると頭が良くなる」という話です。
小学生を朝食の頻度で群分けし、成績の関連性を調べたところ
朝食を食べている頻度が高い方が成績も良いという相関関係が示されました。
(参考:平成21年度 全国学力・学習状況調査【小学校】報告書)
きれいな左上がりのグラフですね。
この国立教育政策研究所の結果をもとに「朝食を食べよう」という啓発活動につながったというわけです。
しかし結論から言うと「朝食を食べると頭が良くなる」という科学的根拠は
ありません。
相関関係は「互いに関係している」という話ですが、因果があるか示すにはもっと深い分析が必要です。(※重回帰分析等、本ブログでは割愛)
まずそもそも日本の小学生の実に88.5%が朝食を毎日食べる事が示されており、朝食を食べない子どもは非常に少数です。これを4つの群に分けてまるで対等であるように比較するのは適切とは言えません。
確かに朝食を食べる家庭の子どもの方が成績はいいでしょう。
でも逆に朝食を食べない子どもはどういう家庭環境なのか。
必要になるのは「想像力」です。その状況を具体的にイメージしてみます。
「親が仕事で忙しくほとんど家にいない家庭」
「朝ご飯を食べなくても叱らない家庭」
「子どもが放置されている家庭(ネグレクト)」
その家庭の子どもの気持ちになってみて下さい。
テストで高得点を取った時、親に見せて
「よくやったね〇〇ちゃん」と褒めてもらえる家庭
テストで高得点を取って「ママ(パパ)100点取ったよ」と言っても
親に見向きもされない家庭
「そう」とだけ返事され関心を示されない家庭
そもそも親が帰ってこない家庭
ごめんなさい、想像していたらブログを書いている私が苦しくなってきました。
つまり、子どものモチベーションが上がるでしょうかという話です。
本当の因果関係が見えて来ました。
子どもの成績について最も大事なのは親の関心(関与)なのです。
教育者がこの研究を受けてすべきなのは「朝食を食べることの推奨」ではなく
「朝食を食べない子どもへのケア」なのです。
親に悪意がなくただ単純に子どもへ関心を示すことの重要性を理解してないだけならば、教育者の関与で子どもを救えるかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございます。
弟・妹ができるとなぜ盗みをするのか
※大学の講義で受けた非行についての話です。
子どもの非行行動については2つに分ける事が出来ます。
1つ目は「盗み」
2つ目は「暴力」です。
今日は1つ目の盗みについての話です。
結論から言うと、子どもが非行行動として「盗み」をするのは母性愛の不足、
つまり母親からの愛情が低下した時に起こります。
弟・妹さんが出来るとお母さんは大変です。当然の事として赤ちゃんの面倒を見る必要があります。大人の私たちは理解する事が出来るでしょう。
しかしまだ成熟していない子どもについては、弟・妹は突然自分が独占していた親の愛情に割り込んできた存在です。親の愛情は既得権益であり核心的利益です。
絶対に譲ることなど出来ません。
織田信長は弟を殺していますが、彼らのように「母親が弟を溺愛した場合」その憎しみは「殺意」にまで発展してしまう場合があります。
たとえ弟の方が可愛くても長男を1番大切にしないと、兄は弟をいじめ、兄弟関係は悪くなります。
次男であれば、長男より大切にされなくても耐える事ができます。
しかし長男は耐える事ができません。
そしてそれは非行行動という形で表出する事になります。
非行行動による盗みにはその後の特有の行動があります。
それは「お金を友達に配る」「お金で友達に何かを買おうとする」
つまり誰かの愛情をお金で買おうとするような行動に出るのです。
もし2人目のお子さんが出来た方が周りにいらっしゃったら
是非ともこの話をしてあげて下さい。
最後までお読みいただきありがとうございます。
日本人のネガティブ遺伝子
大学時代の講義で見たNHKのドキュメンタリー番組、「人体3(第5集)」でやっていた話です。
脳の分泌で人の性格が決まるとの話で、そこに遺伝子が関係しています。
(当然といえば当然)
ただ印象的な話が1つあります。要するに性格特性を決めてしまう
「ネガティブ遺伝子」についてアメリカ人と日本人の比率を比較した研究です。
アメリカ人で「ネガティブ遺伝子」を1つでも持つ人は67.7%
あのポジティブなアメリカ人ですら70%近くは遺伝的にネガティブなのです。
さて一方の日本人はどうなのでしょう。私は友人に何度もクイズで出していますが、
当てた人はいません。
答えは98.3%
アメリカでは30%がガチポジティブで、日本人のポジティブ割合は1.7% ここまで少ないともはや誤差の世界です。日本人は「ネガティブな人」と「すごくネガティブな人」でほとんどなのです。
でも悪い事ばかりでもありません。
日本人は疫病が流行れば法律で罰則を設けなくてもちゃんとマスクをします。
(一方でどこぞのポジティブ国家では大統領がマスクをしませんが。)
教習所でも「だろう(希望的)運転」より「かもしれない(絶望的)運転」と習いますが、ネガティブな人の方が事故を起こしにくいのでしょう。
そうやって生き残ってきたのです。
日本人は世界から良くも悪くも「変わった国」という評価を受けますが、この「ネガティブ遺伝子」の多さが関係しているのかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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